12/11(土)交流会2021が開催されました!
昨年同様Zoomミーティングを利用したオンライン方式で開催。「在宅医療の臨床倫理」第一部は、
日本臨床倫理学会理事、東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野客員研究員である箕岡真子氏の講義、
第二部は『日頃直面している倫理的課題に私たちがどう向き合っているか? 』をテーマに
グループに別れて討議、コミュニケーションを深めました。
今回は、Zoom入室確認、ブロードキャストなどをアウトソーシング。
とはいえ参加者名&ブロック名が間違いないか、事務局でも確認を怠らずスムーズな運営をめざし
メンバー75名の参加を得て開催されました!
北関東ブロックの佐々木ゆかり氏と東海北陸ブロックの松下容子氏が総合司会を務め、
12時50分「箕岡先生まだですね? 13時5分からはじめましょう!」と、
大橋代表にゆっくり話してもらうようお願いして交流会スタート!
大橋代表から「全国の訪問看護認定看護師のみなさま! このたびはほんとうにいろいろな活動をしていただき
感謝申し上げます」と、在宅看取りを学びたいという日本中の訪問看護師さんを対象にした
難易度の高い事業に尽力したプロジェクトメンバーへ、目一杯、感謝の気持ちを伝えました。
13時5分、先生の入室まで講義開始時間を引き延ばす作戦へ。
急遽プログラムを変更し、「在宅看取り研修」企画担当の廣川副代表のスピーチでは
「参加申込者総数2,000名におよび、とても反響が大きかった…気がついたことは
現場はどこも同じだということ、全く変わらなかった! 」と。
野崎監事からは「この協議会設立は2007年。それぞれが全国で活動しながら…ちょっと集まりましょう!と
なって…」と語り終わったところで、箕岡先生が入室され講義開始です。
臨床倫理という広範囲なテーマの中「自己決定」と「代理判断」に焦点を絞った講義は、
さまざまな倫理的価値が対立する事例を交えて話されることで問題点が浮き彫りに―
日々仕事に追われる中、意思決定を引き出すことの難しさとその重要性を再確認する場となりました。
「ご本人の意思決定を引き出すケアをわたしたちがどれだけできているのか?を考えさせられた」
と佐々木氏が言われたとおり、倫理4原則の1番「自律尊重原則」に基づき、
たとえ認知症の方でも「潜在能力を最大限引き出す」ことが大事であると。
意思決定能力がない場合「家族がすべて決めてしまっていいのだろうか?」という問いと
「事前指示」の作成プロセスが大事であることをあらためて学ぶことができました。
・ご本人と話合っておく『私の四つのお願い』は、事前指示書を作成する上で欠かせない、ACPの実践である
・家族による代理判断は常に適切とは限らない
・「この場合、ご本人だったらどのように考えるのでしょうか?」という基本の問いかけ
・誰が代理判断者として適切なのか?の見極め…などなど
わたしたち訪問看護師にとって、示唆に富んだ言葉や重要なポイントが数多くありました。
また、DNAR指示からPOLSTに至る経緯を説明していただいた際は、
これらの問題点整理と、慎重に対応するべき点をあらためて確認することができた!という想いです。
1991年アメリカ・メディカル・アソシエーションが発表したDNAR指示のガイドラインは
医療現場でのコンセンサスに欠け、医療者ごとに異なっていたため、
「DNAR指示は誰が決めるのか?」
「DNAR指示によって差し控え、中止される医療的処置はどんなものか?」
といった大きな問題があり、その混乱を改善するため、
2015年に日本臨床倫理学会があらたなガイドラインを発表。
それが、POLST(Physician Orders for Life Sustaining Treatment)
「生命を脅かす疾患」に直面している患者の医療処置(蘇生措置を含む)に関する医師による指示」です。
POLSTはこのウェブサイトからダウンロードできます。
ガイダンスは6つのパートすべてにチェックリストがあり、
適切なプロセスを踏んで書式にまとめることができるようになっています。
みなさんダウンロードしてご活用ください。↓ここにリンクを貼っておきますネ!
https://square.umin.ac.jp/j-ethics/workinggroup.htm
箕岡先生への質疑応答では
「対話のプロセスの記録方法、記述ポイントについて教えてほしい」
「気切、呼吸器拒否されていたALSの方、身の置き所のない辛さから、医師の再確認で付けてほしいとなった。
CO2ナルコーシス状態であったのか、呼吸器が付いたことに気がついた時のショックで、
後悔に苛まれているがこれも自己決定になるのか? こういうことにならないためにはどうしたらいいのか?」
という質問が上がり、箕岡先生から答えていただきました。
第2部グループワークでは「日頃直面している倫理的課題に私たちがどう向き合っているか?」
と題し45分間ディスカッション。
その間、事務局では「協議会の将来」について熱い議論が繰り広げられておりましたが
ナイショです~♪
そしてグループワーク終了後、3チームの代表が発表!
関東ブロックの佐久本さんから
「訪問看護としてはいろいろコミュニケーションできているが自分の親に対しては難しいね!」
という話になった。 認知症のおばさんがお隣さんのものを盗んでしまうことがあったが、
家族として真意を聞くのが難しく倫理的にモヤモヤを感じる。
北関東ブロックの英さんから
認知症の場合について話合った。病院勤務の方からはしっかりコミュニケーションを取る時間がない。
では、そういう状況の中、地域で活動する訪問看護師はどういうふうにしていったらいいのか?
その具体的実践方法まで結びつけられるといいね、となり
①意思決定能力があるかどうかをきちんと確認すること
②それがちょっと厳しい場合、心地いいと思うケアを提供をしながら、
ご本人の今までの生き方をご家族に継続して聞いていく
③その中で適切な代理判断を家族ができるようにしていく
これらを具体的に実践されていらっしゃいましたので、
わたしたちもそれを意識してやれたらいいね、となりました。
関東ブロック小西さんから
「声の大きな家族に引っ張られるよね」という意見から、「家族との対話」がとても大切だと。
書式等で確認しているが、一例としてPEGの患者さん、家族も同意してのことだったがモンスター化。
意思決定のところでACPがカタチになった後も「丁寧に丁寧に対応し関わり続けていかなければいけない。
常に立ち止まっていっしょに考えていくことが大切だ」ということをみんなで情報共有できた!
そして交流会は終了!
「オンラインであっても、こうやって集い、みんなで勉強し、グループワークすることは
もの凄く力になると感じます」と 野崎監事。
「来年の総会ではみなさまと直接お会いできることを願っております」と
松下氏のメッセージで幕を閉じました。
みなさんありがとうございました~♪
また総会でお会いしましょう!
アンケートにご協力いただきありがとうございました!
参加者75名中59名のみなさんから回答していただくことができました。
オンライン形式になって2年が経ち、移動がなく参加しやすいという意見が多くあった反面
集合研修が恋しくなったという意見もあり、次回はなんとかハイブリッドでできたらいいですネ!
企画内容についてはみなさんとても参考になって、満足されたことがわかる内容の濃いアンケート結果〜♪
メンバーの率直な意見が13ページに渡ってまとめられています。
どうぞPDFファイルをダウンロードしてご覧ください!